生産者交流会
1月13日に生活クラブ埼玉本部にて「放射能学習会&高橋徳治商店生産者交流会」が行われました。震災後、学習交流会の企画がありましたが台風のため中止になり、組合員さんから再度開催の問い合わせがあったようです。と言う訳で、埼玉では震災後初めての交流学習会の開催で放射能検査室:槌田さんの講演会とセットということもあって、多くの組合員の参加を頂きました。
当日のスケジュール
午前の部は生活クラブの放射能検査の取組みについて。放射能学習会では、生活クラブ連合会品質管理部:槌田部長より放射能について、皆さんに分かりやすく説明していただきました。テレビなどの情報だけでは分からなかった数値も理解できたのではないでしょうか。
おでんとご飯の昼食を挟んで午後からは生活クラブと提携している当社と、市販品の魚肉練製品の違いを説明しました。100g当りの増量材や合成添加物の使用されている量、しかも使われている実物を見てもらい、その種類や量、増量の多さにビックリされていました。グルタミン酸ナトリウムの100倍の呈味力を持つ化学調味料や、コンビニのおにぎりに入っている調味料兼保存料など、本当は舐めて確かめて頂きたいものは沢山あったのですが(笑)
添加物を使う理由は、あくまでもメ-カ-や流通業のためで食べる側には関係ないことなんです。家庭料理でも外食でも原価計算すれば殆どは「素材や原料」が一番です。加工品を作るメ-カ-でも同じで、加工食品の原材料比率は25~50%です(飲料は別ですが)次に人件費。いかに安い原料を使うか、使えない、或いはもっと利益を上げたい時は増量します。水や植物たんぱく質、油脂、デンプン……。味もなくなる、歯ごたえもなくなる、香りや日持ちも悪くなる。だから合成添加物の出番も多くなるはずです。
誰を見て、モノづくりしているか。しかも血肉を作り命を支えるたんぱく質や炭水化物、各種ミネラルやビタミンを摂取する「食べ物」です。健康だけではなく生命を支える基本です。だからこそ「素材に近い、素材を活かした加工食品」であって、素材とは似ても似つかなくなり素材まがいの加工食品は、より本物に見せようとすればするほど食べる側に手を変え品を変えて饒舌になっている。価格が安いことは今やニセモノを見分けるモノサシでもあります。反対にブランド品は自分だけ、販売価格が高ければ原料比率も下がります。だったら合成添加物は外してください、それが高く販売しているものの最低の良心でしょう。
さて「お客様のことを第一に考えて・・・」とメ-カ-も流通業もよく言っています。
お客さんの「何を第一に考えて」・・ですか?
そういったいわゆるブランド品は、何も語っていません。何も語っていないのに買い求める消費者は何も感じない、考えない、見極めもできない、本当というのがあるとすれば何も分かっていない。高い製品だから、それを購入することや購入してお高いブランド品を贈り物に使う。つまりそこには、製品自体の存在はわずかではないかとさえ考えてしまう。高いから…では安かろう悪かろうの製品はというと節操もなく海外素性不明の原料に増量材や合成添加物を使いこなす。
何世代にわたって、半世紀以上そんなブランドや安かろう食品が氾濫してきた。昔は素材があり、家庭内で粗末ながらもしっかり素材を活かした伝統や家庭料理が家族の口に入った。だから、舌がある意味肥えていた。素材を感じる味覚、嗅覚だ。だからグルタミン酸ナトリウムに代表される旨み調味料の功罪は大きい。衝撃的な濃厚な、攻撃的とさえいえる味は、素材しか知らない日常食に急速に入り込んできた。しかも当時は業務用でさえkg6000円、現在のkg数百円の何十倍の価格はそれを使うことが高度経済成長に乗り遅れるな、仲間入りの象徴ともいえるんじゃないかと。次にカップラ-メンに代表されるインスタント食品、そして急速に広がる外食産業やファ-ストフ-ド。外食もファ-ストフ-ドも表示がない。法的に許されるから原材料や合成添加物は表示していない。だからやりたい放題なんです。
そして3.11から4年が経とうとしています。今だからこそ一番伝えたいことは「震災後をどう生きるか…」 あの時埼玉でもかなりの揺れを感じたと思います。そして被災地での衝撃的映像の数々、加えて福島の原発事故。
皆さんは多くのことを考え「暗い気持ちになった」とよく聞きます。「暗い」・・・なぜ暗い気持ちになるのでしょうか。日常では覗くことができない、映像で海外の悲惨なことがあっても、我が事ではないという方が殆どだと思います。私も震災前は悲しんだり憤りを覚えたりしてましだが、身近な事じゃなかった。でも、皆さんにとって「震災での映像や目に見えない原発事故放射能汚染」は、真っ只中に居る人にとっては地獄のような現実でした。震災前に日常というものがあったとしたらまさに「非日常」です。でも非日常に突き落とされてそこに居ると、毎日同じ時間に起きて朝食を用意し、目を擦りながらばたばた食事し、職場や学校に行く…洗濯や掃除や朝のテレビやご近所付き合いや買い物などなど。休日も給料日も「避難所」にいると関係が無くなっていました。何週間もお風呂にも入れず、車も暖房さえなく夜には真っ暗、布団も無いプライバシ-も存在しない、震災前の日常の様々な当たり前の雑事がそぎ落とされ、食べもの、水、排泄、眠ることが大切なことになりました。加えて共同生活での話し合い、折り合いや役割り、日々暮らしていくのに何が大事かが見えてきます。命をささえる為に工夫が出てきます。「避難所」では悩んでふさいで、落ち込んだり病気になったり、家族や知人を探しに毎日夥しい人が来訪して一人ずつ丁寧に応対したりしました。痛みを持っているからこそ他人の痛みに優しい対応ができる、心遣いや思いやりが飛び交い感謝の言葉が素直に交わされたものです。家族を無くした人に傾聴があり、子供達でさえ健気でした。曖昧な言葉ですが こころが行き交っていました。いただける食べ物や衣服、靴や薬に心から感謝しました。
そこには命の大切さ、心の大切さ、お金では買えない物や買えない事があるから。
震災後毎日毎日、少しずつ自分と向き合いながら考えています。だからこそ食品づくりには、どんな姿勢、考え方が根っこにあるべきなのかを考えました。震災後、一度ならず会社を閉めようかと考えましたが再開を決めました。皆さんからの考えられないほど多くの支援で背中を押されたことがきっかけではありましたが、マイナスから推していただいてもゼロ以下から一人で歩いていく…再開の理由が無くては歩けません。つまり自分がここでこれからも生きていく理由。
二度も考えました、楽になりたい=自死をまぬがれたのは皆さんの支援、しかし先がまったく見えないこの地でこの状況で、覚悟なんか役に立たない。どんなことがあっても生き続けるには何故生きるのか、生きる意味が必要です。しかも過去にあった日常ではなく本当に生きるには…。
交流会後には参加者の皆様よりたくさんのメッセージをいただきましたので一部紹介します。
本日の内容について(一番参考になったことは?)
- 放射能学習会で難しい話をわかりやすく話していただき新しい知識を得られた S.Mさん
- 生活クラブの放射能測定に対しての取組み方、データの見方を理解できた T.Aさん
- 原発の恐ろしさ、食の大切さ O.Rさん
- 放射能と食の因果関係について T.Tさん
本日の内容について(もっと聞きたかったことは?) - 放射能が発がん性を高める以外に身体にどのような影響があるのか H.Rさん
- 魚のこと、人間のこと T.Mさん
- 高橋徳治商店の新工場の様子 S.Kさん
- 高橋徳治商店の製品について詳しく知りたい T.Kさん
㈱高橋徳治商店へのメッセージ - おとうふ揚げが家族みんな大好きです O.Jさん
- 再開を楽しみに待っていました S.Mさん
- 思い込みで東北の食材を避けていました。高橋氏の話で良識を持った人がいることを知り、熱いエールを送らせていただきます T.Tさん
- この季節はおでん種セットも気に入っています。これからも作り続けて下さい T.Kさん
- 人災である原発だけは許してはいけない。負の遺産を次世代に残したくない。無力な自分にでも出来ることを問い続け、考え、行動して行きたいと思います I.Nさん
魚肉練製品・冷凍魚の利用について(生活クラブで積極的に利用している方の理由) - 出所がはっきりしているから O.Rさん
- 味が全く違う、材料の信頼性がはっきりしている S.Mさん
- 鮮度と添加物を考えると生活クラブです H.Nさん
- 美味しいし安全だから S.Eさん
皆様にはお忙しい中、今回の交流会に参加いただきありがとうございます。
㈱高橋徳治商店は、これからも“真手に”心を込めて皆様に美味しい製品をお届け致します。
株式会社高橋徳治商店
代表取締役社長 高橋英雄