3.11から12年
今年の3月11日で東日本大震災から12年を迎えました。
また弊社代表には全国の生協様より
数多くのコメント・文章依頼がございました。
有難うございました。
今回はその中の1文章を原文のまま掲載いたします。
(常総生協 News Letter 2023年3月2回号より)
2023年3月11日、あの日から12年。
毎年毎年11回も各生協や宅配の組織の皆さんからの依頼を頂戴し文章を書いてきました。
100文字から2000文字のところもあります。
原発事故も含めて「風化は・・・考えてきていないから、当然ながら被災地でも起きている」
考えるとは、我がことに出来ないからでもあるのですが、12年たった今、
他の情報も氾濫しますます忙しくなっているから自分ごとで精一杯、やむを得ないと思います。
そんな中、今後起きうる北から南まで太平洋岸で起きる地震や津波の防災面ではマスコミも
時々だが記事にして被災地でも原発事故も含め避難訓練が定期的に行われている。
防災、それはそれで大切なことだが被災地で何があったか、「3.11は何を教えようとしているのか?」
が語られるのをあまり聞いたことがない。
被災地は社会的課題先進地とはよく言われたが、今は被災地で起きたことは全国に拡散している、
全国が課題だらけと言ってもいい。
今更ですが、貧困・教育や地域や所得やあらゆる格差・差別・DV・育児放棄・不登校・いじめ・
度を越したいたずら・引きこもり・SNS被害・致傷、殺人や強盗・詐欺や贈収賄や汚職・政治家や
官僚の虚言と権力、自己保身・会社のコンプライアンス欠如・フェイク情報・高齢化少子化・過疎・
人の関係の分断・・コロナが拍車をかけ海外各地の戦争が経済、人心も足元を不安定にしている。
家族を亡くした22000人以上の遺族がいる。
そして被災者はそれぞれが舞台が暗転するように突然「弱者になった」と言えます。
弱者という言い方しかできないが、弱者は貧困、格差、暴力やいじめ、あらゆることの被害者で、
原発事故の避難者、高齢者や障がい者、幼児も男社会で女性もシングルマザ-も弱者、
権力に抗う少数派も会社や組織の従業員も外国技能研修生も契約社員もそうだ。
経済的、低賃金を武器に海外進出(合弁も)した企業が仕事をさせる生活困窮する低所得の国民も
そうだし戦争や内乱で逃げ惑う市民も児童労働している子供もそうなる。
あえて言えば農薬化学肥料を使わざるを得ない野菜農家、生産と消費のバランスとは言え相場で
暴落した野菜をすき込む農家も、競争競争で疲れ切ったサラリ-マン、自殺する学生や大人も
借入返済に追われる経営者やサラリ-マン、大手が開発したゲームにのめり込む人たち、スマホ中毒、
保育園・介護施設の被害者…数えきれない。
<視点を変える>
その弱者の視点は「今の私たちのこころの情態、姿をあらわす鏡」だと考えるのは余りにも飛び過ぎだろうか。
意識はしないが自分が強者、健常者の場から転落したくなくて必死に日々を送っていると弱者の視点からはそう見える、
引きこもってしまった若者の就労支援と考えて野菜加工場を作って5年になるが支援は自分が弱者でない
立場ということで伴走も同じだ。それでは弱者の面を持つ今の私を若者という鏡を通して映せない、
だから支え合いと呼ぶことにした。支え合って学び変わらないと若者たちも変われない。
自分の生き方や考え方にいつも感じている違和感が解消しない。
震災後、練り物工場のスタッフ達は自分の心の暗部を見まいと必死でがむしゃらに働いてきたが、
ここにきて二人が気が抜けたように退職願を出して来ました。
本音は「11年以上の疲れもでて一息ついたら気力がなくなった、少し休みたい」・・・
私も会社も退職した彼らを救えなかった、この被災地で真に必要とされるスタッフや会社や私になる為に
この11年以上頑張ってきたが・・・
〇〇するのが当たり前、〇〇であるのが当たり前で日々追われていることに時に少しだけ疑問が
わくがまた明日のため何かに追われるように暮らしていく。
この社会の私たちは、弱者の目で視点を変えてみるとどう映るんだろうか?
「幸せって」「こころからの喜びって」という問いが先送りする私を追いかけてくる。
ある日「どんな仲間になりたい?敷地内の練り物工場の様な仲間に?」と野菜加工場の若者に
聞いたとき若者は言った「どんな仲間になりたいか分からないけど練り物工場とは違うと思う。
なぜなら私たちはものすごく苦しみ悩んできたから・・・」
次々私たちを襲うような沢山の不条理や自分だけ良ければ、競争で分断の世の中は、
若者たちにはどう映っているのだろうか。
競争しない協働で生き生きと楽しい生きがいのある会社になれるのだろうか?
ふと考えた、「なぜ私はこんな迷路のような果てしない道を歩いているのだろうか?」
それは、弱者を少しでも経験した私自身を襲う「違和感」で「抗う」ことで見えてくる
新たな未来を少しでも見つけたいからかも知れない。まだまだだとため息を今日も飲み込んでいる。
被災地では、変わった街に違和感を持ちながら暮らす住民に、よそ者、若者の自分たちで考えた
演劇・映画・音楽・アートフェス・遊び場・カフェ・たまり場・グリ-フケア・ホップ作りから
ビール工房など沢山のチャレンジが何年も続いてきて住民も参加し出した。
きっとそれは痛い思いをしたからこその新しい何かを生んでいるとそう思う。
皆さんの生協、組合員がどんなチャレンジをするか、少しだけつま先立と見える景色が変わってきます。
最後に「現場に行こう!」、たくさんの現場に答えがある、そんな気がして。
2023年2月5日
宮城県東松島市 ㈱高橋徳治商店 代表取締役 高橋英雄