1. HOME
  2. ブログ
  3. ひらつか西海岸デポー交流会

ひらつか西海岸デポー交流会

2024年11月24日(日)

『ひらつか西海岸デポー』にて、生活クラブデポー交流会を行いました。

※生活クラブデポーとは

国産にこだわったホンモノの安心と美味しさを届ける「生活クラブ生活協同組合」のお店。

「大人気 おとうふ揚げのヒミツを知ろう!」という企画主旨のもと、

学習会形式での交流会とおでんの試食。

震災当時~今の課題にまつわる話や添加物についてのお話しをさせて頂きました。

 

また今回は事前に頂いていたご質問に、代表の髙橋が回答した内容を記載します。

みなさまも参加した気持ちになって読み込んでみて下さい。

 

 

①練り物は一般的に添加物が多いイメージがありますが、無添加で作る上で難しい点、

苦労されたことはコスト以外でどのようなことでしょうか。

成添加物は、「なぜ使用するか?」は、皆さんよく分かっていませんが、原価の中で一番比率が高いのが原料、

その「原料価格を下げるため、増量すること」が大きな目的です。

増量する材料は 水・植物たんぱく粉・食油・澱粉類です。増量すると「原価が下がり、もうかります」 

そして、それゆえ 味がなくなる=アミノ酸や動植物から抽出したたんぱく加水分解物、エキス類です。

弾力が悪くなる弾力増強剤リン酸塩トランスグルタミナ-ゼ増粘多糖類

日持ちが悪くなる合成保存料 見栄えが悪くなるキシロ-ス、ソルビト-ルなど品質改良剤

それらを抜くとコストが上がるか、品質が落ちます。

だから、魚自体の(魚市場で購入する目利きが鮮度やサイズや季節での身質の変化)仕入れに厳しい品質が

必要で弾力や旨みを経験的な積み重ねの職人の技が求められます。

加えて 魚の旨みは、例えばつみれでは、サンマやサバ、タラの配合割合を何度も何度も組み合わせして、

練り込み方や加熱の温度や時間を決めていきます。

おとうふ揚げなら 天然にがりだけの豆腐とタラの素材の甘さ、旨みのピークを求めて試行錯誤の連続です。

*震災後に事務所スタッフを交えて毎日作る練り物を3200日も厳密な試食を繰り返し続けています。

基本的にはオッケ-にならないと生産は開始しません。

棄ててしまう製品もかなりありました。みんなが一回でオッケ―して納得できる製品は、年に何回もありません。

 

②練り物と『パクッとカキフライ』などの冷凍食品の製造体制はどうなっていますか?
両者の関連性が分からず想像もつきません。

生活クラブのカキフライは、震災前に何十年も当社が生から仕入れて製造してきましたが、

今は当社は、東京のデポだけです。取り扱いはなくなりました。

パクッとカキフライは、三重県漁連で 広島の冷凍牡蠣を購入し、おそらく三重県漁連の

参加組合員会社でパン粉を付けており当社のものではありません。

カキフライの生産は、激減しましたが、エコシュリンプのエビフライは、震災前同様、

震災後も当社の冷凍食品部門で製造しています。

    
③おとうふあげ、はんぺん、おでんだねなどたくさん種類がありますが、使用されている材料、

それらを作る上でのこだわりやポイント、苦労された点などありましたら、教えてください。

①でも書きましたが、例えばおでん種セット7種に配合されている魚は8種類、他社では考えられない

魚の組み合わせです。

タラすり身以外は全て市場で仕入れられた魚をベストの状態で使用しています。 

つみれは4種類(さんま・サバ・カナガシラ・タラ)です。

なぜ4種類を、決められた配合でブレンドしているか?ですよね。どんなつみれを作りたいかが先ず優先です。

その上で4種の配合割合ですが魚を知り尽くしているからこそ、市場で入札で購入し、頭や内臓を一尾ずつ

包丁で取り除き、良く洗って身取り機にかけ使いますが、弾力や美味しさのための組み合わせは、

試作の連続で何十年もかけて(おでんにして食べて)ようやく出来上がったもの、季節で変わる魚の身の状態

によって、練り込み方など試行錯誤が続きます。

 

④おでんだねは油抜きしてから調理した方が良いですか?

食用油は、こめ(ぬか)油です。有機溶剤を使って抽出してますが、安全性は問題ありません。

万が一、有機溶剤が油に混入すれば、食品衛生法に抵触し製造会社は厳しく許可さえも取り消されるため、

厳しい管理をしています。大気中への漏れも禁止です。40年以上使ってきてますが、酸化が少ない

・香りや味がいい・加えて漂白工程も少なく油へのダメ-ジは極力減らしています。

油脂なのに旨みもあるので「油ぬきはしないでいいです」

 

*つぎ油しています。生産ラインは10数mの長さの油釜なのでドラム缶1本半300Ⅼ以上入ります。

「酸化値」という酸化の目安は、リトマス試験紙の様な試験紙で毎日チェックし、まだ十分に使える

ベルで一部廃油にして継ぎ足しています。

 因みに、県内の障がい者施設では、凄くいい廃油?ですと、粉せっけんを作り地域の生協で販売しています。

 

⑤幼児食用に塩分の少ないおすすめの消費材やレシピはありますか?

市販品は製品によりますが塩分は2~3%でおまけにグルタミン酸Naなど合成添加物のほとんどは

Naの結合体、Na換算で言えば塩分ははるかに高いと言えます。

当社のほとんどは、1%前後、焼いた製品は少し高いですが2%以下です。

塩分が少ない当社製品は、ソフトはんぺん、お好み焼き風さつま揚げが低塩分です。

 

⑥ウインナー巻きは、おでんで食べるのがおすすめですか?

おでん向けに開発しましたが、野菜たっぷりのスープやシチュ-、カレ-などにも合うと思います。

 

⑦おとうふあげを作るのに工夫した点はありますか?

 ①にも書きましたが、震災の津波でレシピはすべて流され、おとうふ揚げから始まった製造は、

思い出しながら戻ってきたフタッフ10名で私・高橋が前面に立ち、試行錯誤を繰り返し5日間で

1000kg製造し冷凍しました。

結果、それを全部捨てる決断をしました。結果として学生ボランティア団体が4カ月かけて食べてはくれましたが。

捨てる!と言ったら、若い職人も含めて猛反対と抗議、果ては、戻ったけど、辞めるとまで。

「これだけの支援を頂いて、ましてお金を出して買ってくれる、そんな組合員に震災前の美味しさになったからと、

私は失礼だ!と思う」「震災前をはるかに超える美味しさにして、それに食べて頂ける人にメッセ-ジをこめるんだ!」

           

それから毎日、現場での闘いが。揚げては試食、そして廃棄、熱々を食べては冷めた後や冷凍解凍した後を

想像し昼ごはんが食べられなくらい全員で改良試食をくり返します。

  その姿は、その目つきや真剣さは、周りから見れば異常とも見えたかも知れません、震災後 

初めて出す製品に込めたスタッフ達の気迫は尋常ではないものがありました、それを今も3200日以上続けてきています。

皆さんの支援が 私たちを大きく変え「変われる(かも)しれない、生きていける(かも)しれない」という

標語をまだ震災津波の汚れが残る壁に貼って道を作ってきました。

 隣の岩手県の生活クラブワーカ-ズの豆腐工場は毎日「今日の豆腐はどうでした?」のやり取りも毎日、

大豆生産者の農家まで今年の大豆がこの等級が美味しくできましたと・・製造会社や生産者まで私たちと

共に変わっていったのも大きな波紋でした。

  美味しいおとうふ揚げの製造基準は「素材が喜んでいるか?」です。タラも豆腐も混ぜ方もありますが、

加熱不足ならわずか魚臭が、豆腐は豆腐臭が・・「どちらも旨みが一番出て香りもやさしい素材の甘さも

ピークになる加熱温度と時間があります」それを見つけることは、手探りです、未だに続く手探りで無添加

の他の練り物にも及んできています。

 

  メッセ-ジが込められてるでしょうか、永遠に続く終わりのないメッセ-ジ作りです。

      
⑧オススメの料理方法を教えてください

ごめんなさい。HPをご覧ください。

   おとうふ揚げだけ、横半分にスライスして溶けるチーズを乗せてオーブンか魚焼き機で焼いてください。

   アツアツをどうぞ。

   全部の練り物は、そのままであれば40度近くまでレンジでもいいし加熱すると作りたてが味わえます。

 

⑨震災から10年を過ぎましたが、震災前の状況に完全に戻っているのでしょうか?

 当社で言えば、12年たって売上げは震災前の75%前後が続いています。

 借入も一時は、震災前の三倍の数十億円、返済も始まっており厳しくないと言えば嘘になるでしょう。

 スタッフも震災前の79名から今は42名(家族を亡くしたスタッフは4人)海の状況はご存じのとおりです。

 加えて6年半前 地域の引きこもり達の就労体験の場として野菜果物加工場も作りました。

 「この地で本当に必要とされる会社やスタッフになるんだ!」という私たちのチャレンジは続きます。

 そして当社の活動や製品に込めたメッセ-ジをもってみんな元気です。

 

⑩おでんにはんぺんやおとうふあげを入れる時の入れるベストタイミングはありますか?

 まずおでんの具材は、はんぺん以外 出汁が温まったら冷凍状態で入れてください。

   一旦沸騰したら数分沸かして その後80℃(ポコポコと泡が出ない程度の中温で)

   15分以上加熱します。出汁のカツオ節などの旨みが突然変わってきます。

   8種類の魚の旨みが出汁に出てきて、コクとやさしい甘さが加わり始めます。

   そのタイミングではんぺんを入れてまた蓋をして数分、時々具材に出汁をかけてください。

   専門店含めて他では味わえない絶妙なハーモニ-の美味しいおでんが味わえます。

 

⑪おとうふあげが好きでよく食べています。

揚げ油はつぎ足して作るのでしょうか? それとも入れ替えでしょうか?・・・④に書きました。

 

  以上、大変返事が遅れましたが 何かご質問などありましたら 当社までご連絡を頂けます様

 お願いします。

  

  前回の交流会 そして、これまでの ご支援有難うございます。

 

  2024年12月4日

 

 ㈱高橋徳治商店 代表取締役 高橋英雄

 

関連記事